基本性能を左右する、加熱方式からみていきます。これらの加熱方式がたくさん搭載されるほど、高性能機種となり価格もアップします。では、それぞれの特徴をまとめてみましょう。
■電子レンジ=マイクロ波
電子レンジの基本機能です。マイクロ波という波長の短い電波で、食品の水分に振動を与え、その摩擦熱で食品を内部から温めます。電子レンジのパワーは出力数(W)が目安。この数値が大きいほど、あたためスピードが早くなるので、スピードを求める場合はしっかり確認しましょう。
■オーブン
加熱した空気によって焼く方法。最近では、大半の機種に搭載されています。ヒーターの熱をファンで送り、庫内の温度を高温にする「強制循環式」は上位機種に、庫内上下にあるヒーターからの輻射熱で食品を加熱する「上下ヒーター式」は低価格帯に多く採用されています。
■グリル
ヒーターの熱で直接焼くこと。ヒーターを利用しているのは変わらないのですが、庫内全体の温度を上げるオーブンとは別の加熱手法となります。魚や肉に焦げ目をつけながら一気に焼き上げる料理に利用します。こちらも大半の機種に搭載されています。
■スチーム
すっかりおなじみになったスチーム加熱ですが、高温加熱した水蒸気(加熱水蒸気)で食品を加熱する方法。水分を逃がさず加熱することで、ジューシーにおいしく仕上がるのが人気となっています。オーブン機能の次世代版として、上位機種をメインに搭載され、価格帯も高くなっています。SHARPのウォーターオーブンも、このスチーム加熱に含まれます。
■トースト機能
オーブントースターと同じくトーストが焼ける機能。これは、庫内容量が大きいと、加熱時間が長くなるため効率的でないことに加え、パンの水分がたくさん奪われてしまい、美味しく焼き上げられないこともあるのがネック。食パン1枚を焼くのに何分かかるか要チェックです。
ポイントとなるのは、スチーム加熱の有無。これが商品決定の“鍵”といえるでしょう。単純に再加熱(あたため)や解凍だけができれば良いのか、調理器具のひとつとしてフル活用したいのかにより、おのずと必要な機能は変わってきます。自分の目的をしっかり見極めて、検討して下さい。
現在、電子レンジは1万円以下~15万円と実に価格幅が大きいのが実情です。この価格差でいったいどのような差があるのでしょうか?ひとつは前出の「加熱方式」の数ですが、実はスチーム搭載か否かによる価格差だけでなく、電子レンジ+オーブンのスタンダードタイプの中でも微妙な機能差があり、それが価格に反映されているのです。では、それらの機能差についてまとめてご紹介します。
センサー機能
価格に最も直結しているのがこのセンサー機能。あたため加減を調節するためのセンサーですが、このセンサーの精度により価格差がでてきます。センサーのタイプには以下の種類があります。
赤外線センサ | 食品表面温度を赤外線センサでチェックしながら温め、加熱を調節する高性能センサ。上位機種の主流はこのタイプ。 |
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重量センサ | ターンテーブルに置いた総重量で加熱時間を調節する。食器+器の重量で感知するので、重い器を用いると加熱しすぎてしまう。 | 蒸気センサ | 食品から出る蒸気を検知して加熱を調節。ラップして加熱すると蒸気が感知できないため加熱しすぎてしまう。ちなみに「あたためセンサー」も同じ意味 |
温度センサ | 温度を感知して加熱を調節。オーブンやグリル使用時に働くセンサ。 |
さらに赤外線タイプには、赤外線の数を増やしたり、食品の置かれた位置を感知し重量と合わせてより的確に温めるなど、各社独自の高性能センサーが開発されています。快適な自動あたためができる高性能センサーは、当然価格も高くなるのです。あたため機能しか使わないけれど、ボタンひとつでバッチリあたためて欲しい人は、このセンサー機能を要チェックです!
ターンテーブルorフラットテーブル
庫内の皿が回転しないフラットテーブルは上位機種の主流です。回転しないので、めいっぱいお皿を乗せられ、庫内が広く使えるのが利点。また、庫内がフラットのためメンテナンスも楽なのが魅力。以前は、加熱ムラを無くすため皿が回転する、ターンテーブルが主流でしたが、上位機種はセンサーの性能が高いため、加熱ムラの心配はありません。従ってターンテーブルはセンサー性能が低い低価格帯の機種に多くなります。
容量の目安
15・6L~30Lまでサイズはいろいろありますが、基本的には容量が大きいほど価格も高くなります。本格的なオーブン料理をするなら25~30Lと大きめが必要でしょうし、あたためメインなら20Lでも充分ですので、その活用度により必要容量を検討して下さい。
オート調理メニュー
上位機種ほど、オートメニューの数が多くなります。最新の機種では、ご飯とおかずが同時に調理できるオートメニューなども開発されていますので「電子レンジで料理が作れるならチャレンジしてみよう!」と思うなら、オートメニューの内容チェックもしてみてください。
以上のように、電子レンジは比較的、価格による機能差が明確にでる家電です。本体価格の安さだけに飛びつかず、細かな機能をよく比較することをオススメします。
単機能ならシャープ、多機能ならパナソニック製がオススメです。シャープは単機能電子レンジの大ロングセラー商品を持っていますし、パナソニックは多機能でありながらも手頃な価格帯のレンジを多数作っており、非常に良心的です。
パナソニック エレック オーブンレンジ 26L ブラック NE-MS261-K
まず私も愛用しているパナソニック製の電子レンジです。多機能レンジですが値段は25000円程度とお手頃です。
赤外線センサーでなおかつフラットテーブルなので使い勝手も非常によく、ムラもできにくいです。サイズ的にもコンパクトなので、一人暮らしであれば冷蔵庫の上にも十分置けますし、これだけの機能が搭載されているので一般家庭用としても長く使えるコスパ最高の電子レンジです。
SHARP 単機能電子レンジ 50Hz RE-T1W-5
もう1つ紹介。こちらはシャープ製の単機能電子レンジです。調理用というよりはいわゆる「温めるだけ」に特化した電子レンジで大ロングセラー商品になります。
700Wと高出力ですし、ターンテーブルですが食品の出し入れもスムーズに行えます。シンプルな電子レンジをお探しなら、信頼と実績があるこの商品を強くオススメします。
注意点として、こちらの周波数は50Hzです。したがって東日本用ですので、西日本で同商品をお買い求め希望される方は、60Wのものを購入してください。