退去時最後のプロセスとして、「敷金の返済」があります。入居契約時に大家さんに支払った頭金です。これは基本的には部屋の清掃代等の後処理に使用されるのですが、部屋を掃除不要なほどに綺麗に使っていても敷金返済が一切ないケースもあるそうです。
今回は、敷金返済についての基礎知識を解説するとともに、理不尽な理由で敷金が返済されなかった時の対処法も合わせて紹介したいと思います。
忘れている人もいるかと思われるので、ここで一つ復習しておきます。敷金とは、家賃を滞納したり、部屋を異常に汚したり、壊したりした場合の修理費に充当するための「担保金」です。通常、賃貸借契約時に預けます。注意して欲しい点は、敷金は商品やサービスを買って支払ったお金ではないということです。あくまでもあなたが預けているお金なのです。
一般的に「修理費」「掃除費」と退去時の「ハウスクリーニング費」などがあります。しかし、これらは無条件で敷金から差し引かれるわけではありません。特に「修理費」「掃除費」は通常の生活状態であれば、敷金から差し引かれてあなたが負担する義務はありません。
先ほど無条件であなたが負担することはないと言いましたが、反対にそれは貸主側にも言えることなのです。では「修理費」「掃除費」を貸主またはあなたのどちらが負担するかはその費用原因が故意・過失かどうかで決まります。次項目では故意・過失かどうかの実例を載せていますので、ぜひ参考にしてください。
貸主と入居者であるあなたとの間で、最も大きな隔たりがあるのがハウスクリーニングです。退去時にしっかりと掃除をしたにも関わらず、敷金清算の見積書をみるとほとんどの場合、ハウスクリーニング代として数万円差し引かれています。
その理由は特約事項です。入居時の契約書には、ハウスクリーニング代は借主(あなた)が負担するという特約事項が書かれています。貸主側はこれを理由に敷金からハウスクリーニング代を差し引かせていただきますと主張してきます。
しかし、国土交通省のガイドラインで示されている通常の使用をされていて、キチンと通常の掃除をされていたのであれば、ハウスクリーニングの特約があってもその費用負担をしなくても済む可能性があります。
退去時にしっかりと掃除をしてハウスクリーニングが不要と思われる場合は、不動産管理会社にその旨を伝え、ハウスクリーニング代の負担がなくなるよう交渉してみるのも手です。
最初に不動産管理会社へ連絡するのもいいと思いますが、私は直接、貸主(大家)への連絡することをおススメします!なぜならば不動産管理会社の怠慢がよくあるからです。
ようするに、いくら不動産管理会社に敷金の返還額が少ないと連絡しても肝心の貸主(大家)にはその連絡が全く届いていなく不動産管理会社が敷金をしれっとピンハネしていることがあるということです。
※貸主(大家)の電話番号は入居時の契約書に必ず、書かれています。
内容証明とは「誰が、誰宛てに、いつ、その手紙の内容」を郵便局が公に証明してくれる手紙のことです。「1.手紙を出したこと」「2.手紙を出した日付」「3.手紙の内容」を郵便局が証明してくれます。郵便局が証明するのはその内容の手紙を送ったという事実であり、決してその手紙内容が真実であることを証明するものではありませんので、ご注意ください。内容証明の効果として一番に考えられるものに精神的圧力があります。相手からみれば、見慣れない特別の郵便物が届き、何か法的な効果があるのかと思うかもしれません。その結果、相手があなたの訴えを真摯に受け止め、敷金返還に繋がる可能性が高まると言えます。特に裁判所内の郵便局から発信されたものがその効果をより上げるようです。
今、あなたが敷金の返還額に納得できていないように、全国には同じ境遇の方がたくさんいらっしゃいます。そこにビジネスチャンスを見出したのが敷金返還代行業者です。私も以前依頼して、ほとんど手間や時間を掛けずに敷金を全額返還させることができました。「敷金返還請求net」「敷金ポリス」「敷金返還ホットラインセンター」あたりが有名です。
内容証明を送付しても敷金返還代行業者に依頼しても敷金が返還されない場合は、少額訴訟も1つの方法です。訴訟というとなんだか難しそうで素人にはできないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。素人でもできるように簡素化された訴訟が少額訴訟なのです。